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《ネタバレ》 「この世界の片隅に」に約40分の新たなシーンを追加したロングバージョン。前作(この場合、そう言っていいのか分からないが。)を見てから一週間ほどしか経っていなかったが、あえて間を空けずにこちらも見てみた。前作はすずさんたちを通して戦争が当たり前にあった時代の普通の日常をリアルに描いた映画という印象だったのだが、このバージョンで主に追加されているのは前作ではチョイ役程度の出番だったリンさんとのエピソードで、このリンさんとすずさんの関係を描くことで、人間ドラマとしての深みが出ているし、それによって丁寧に描かれる日常の中で、すずさんの成長や、自分で運命を切り開いていくといったような決意が前作よりも踏み込んで描かれていて、少し前作とはすずさんの印象も変わってきているが、間違いなく本作はすずさんの物語として捉えることができる。だから、ラスト近くで初めて出会った橋の上で周作さんにかける言葉である「世界の片隅で、見つけてくれてありがとう。」という言葉は今回のほうが見ていて胸に来るものがあった。それに「この世界に居場所はそうそうのうなりゃあせん」、「死んだら心の中の秘密も何も消えてなかったことになる」というリンさんの言葉も深くて忘れられない。見る前は前作があまりにも名作だったこともあり、追加シーンが足をひっぱっていないか不安だったのだが、また違った見方ができる映画になっていてやはり名作だと思った。前作を含めれば見るのは2回目ということもあって、始まるや否や引き込まれ、168分という長さも中だるみを感じることなく本当にあっという間だったのだが、子供が見るには前作のほうがいいかもと思う。でも、二つともに素晴らしい映画には間違いなく、優劣をつけることは出来はしない。
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 9点(2021-01-03 02:38:41)(良:2票)
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