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《ネタバレ》 実は市川崑監督の金田一で初めて見たのが本作だったのだが、その時以来の久々の再見。「八つ墓村」といえば野村芳太郎監督が松竹で手掛けた映画のインパクトがあまりにもすごくて印象も強いのだが、野村監督版が現代を舞台にしていたのに対し、この市川監督版は石坂金田一同様戦後すぐの時期を舞台にしていて、おそらく野村監督版よりもこちらのほうが原作(未読)に沿った内容なのだろうと思うし、市川監督の金田一らしさも少しは感じられる部分があり、そのあたりは見ていてなんとなく安心感がある。しかし、映画的なものはあまり感じることができずに、安っぽい2時間ドラマのような印象が強くなってしまったのははっきり言って残念で、野村監督版にあったスケールの大きさはもちろん、石坂金田一にあった大作感もなく非常に小粒で薄い。トヨエツの飄々とした軽い金田一はこれはこれでありだとは思うものの、市川監督の映画だと思うと、金田一の知的な部分が足りず、やっぱり市川監督の金田一は石坂浩二だよなあという感想を今見ると抱いてしまうのも事実。(監督本人もそういう思いがあったのか、この10年後にリメイクした「犬神家の一族」では金田一役に石坂浩二を譲らなかったという。)また、石坂金田一でレギュラー的に出演していた面々が一部を除いて出演していないのも今見るとなんかさびしい。(西村雅彦の役なんてつい三木のり平が演じていそうと思ってしまう。)その中で加藤武が本作でも刑事役で登場して、いつもの決め台詞を言っているのは嬉しいし、結果的に市川監督の金田一全作にこの役で出ていることになるのもすごさを感じるのだが、本作では、金田一役が石坂浩二ではないのに加藤武がいつものように刑事役というのは逆に何かチグハグな気もした。もっとも市川監督の作品で加藤武が刑事役で出ているときは金田一以外でも決まって同じ決め台詞を言うので、実はそんなに気にすることでもないかもしれないのだが。エンドロールにかかる主題歌が全然合っていないのとエンドクレジットが普通のサイズなのも石坂金田一のイメージで見てしまうとこれもけっこう残念に感じる。でも、初めて見た時もそうだったのだが、今見てもやはり岸田今日子が演じる小竹と小梅のインパクトがすごく、これだけは野村監督版を上回っているような気がして、この配役は良かった。(2024年12月26日更新)
【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2005-02-28 10:38:37)★《更新》★
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