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戦争の叙述は、叙述主体がどちらがわにたつかによってまったく違ったものになってくる。また、戦後の日本教育が推進してきたように、戦闘ではなく、いわゆる銃後の生活に焦点をあてる方法もあるだろう。但し、後者の弊害は被害者意識だけうえつけて、戦争そのもの歴史的な意味合いから眼をそらし、歴史認識をあやふやにしてしまうという欠陥をもっている。
この映画は最近流行の戦争全体ではなく個別の戦闘に焦点をあてただけでなく、銃後の生活にもふれ、二重の意味で戦争のもつ悲惨さをとりあげてくれた。充分な訓練をつませず、戦闘の指揮官が戦死者が多数でることを予期しながらも、出撃を命ずる上官の姿。戦死公報を速達郵便ですまし、充分なバックアップをしなかった政府の姿が今日の日本の状況とだぶって見えてしまう。 但しこの作品でも、ベトナム人はあいかわらず誇張された滑稽さをただよわせている理解不能なエイリアンとして描かれている。いつか、ベトナム人側に視点をかえた作品がアメリカ側からも製作されるようになって、はじめて真の意味での反戦映画だといえるだろう。エラノゲイの復元展示でさえ、被爆被害者の写真展示に反対がわきおこる現状では不可能だろうけど。 【TSUTTY】さん 6点(2003-12-21 11:11:18)
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