機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 の USS_Barcelona さんのクチコミ・感想

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機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 の USS_Barcelona さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 ファンの間ではこの映画を含めたファーストガンダムは不可侵ともいえる絶対的な存在です。そしてファーストガンダムを基準にして他のシリーズを「許せる」「許せない」で判断する風潮があります。例えば、Zは許せるけどZZは許せないと言った場合、「ファーストガンダムを基準して」という暗黙の了解あります。物語のほうは静かで厳かな幕開けから、サイド6、テキサスコロニー、ソロモンを経てア・バオア・クーで完結しますが、無駄がなく且つ緩急や静と動のバランスがとれており、とてもテレビ版を継ぎはぎしたとは思えません。さらに言えば、本来はア・バオア・クーではなくジオンの本拠地であるサイド3で完結する構想だったのを、テレビの低視聴率の影響で短縮した妥協の産物であるのに、この完成度は奇跡です。前2編の伏線は、アムロはじめホワイトベースクルーの成長にその効果が確認できます。特に、アムロの未熟さや軍紀を乱す子供っぽい行動を執拗に描いた効果はてきめんです。また、荒廃した地球の戦線を延々と、少々冗長に描いたことで、宇宙の開放感が強く感じられます。様々な角度からこの映画を論じることができますが、私は「アムロとシャアの果てしない喪失の物語」として論じようと思います。シャアは、生い立ちからして失うものが何もない場所からスタートしていますが、今編ではララアと自身のプライドを失って涙を流します。ララアに関しては失って初めて彼女への愛に気付いたのではないでしょうか。この喪失感からシャアは本来の宿願であるザビ家打倒とニュータイプによる世界の変革という目標軸を一旦見失いかけます。一方、アムロの喪失はシャア以上です。母との心の繋がりを失い、マチルダさんを失い、父は自分の行動が遠因となって正気を失い、運命の出会いだったララアを失い、あれほどアムロに想いを寄せていたフラウ・ボウはハヤトの元に走ります。喪失感が深まるのと対照的に、彼のニュータイプとしての能力は開花し、鬼神のようなその強さは前人未踏の領域に彼を引き上げ、そのことが孤独感をさらに深めます。ララアの「あなたには守るべきものがない」という趣旨の台詞は、深く深くアムロに突き刺さったはずです。エンディングでは、そんなシャアとアムロにせめてもの慈悲が提示されました。シャアは自分の手でキシリアを誅殺することで目的の一つを達成しました。そしてアムロは、喪失の果てに何を得たのでしょうか。
USS_Barcelonaさん 9点(2003-12-12 10:31:25)(良:3票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2004-03-15シコふんじゃった。5レビュー7.36点
マトリックス リローデッド2レビュー5.89点
キル・ビル Vol.1(アメリカ版)2レビュー5.14点
2004-03-14ロスト・イン・トランスレーション7レビュー5.79点
2004-03-03さよなら、クロ6レビュー6.07点
2004-03-03アメリカン・グラフィティ7レビュー7.11点
2004-02-16座頭市(2003)6レビュー6.60点
2004-02-10ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター6レビュー6.71点
2004-02-09ゆすり(1929)3レビュー5.30点
2004-02-09Mr.BOO!ミスター・ブー7レビュー6.30点
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