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雰囲気は嫌いじゃない。大阪の下町の風景や光の使い方、『くるり』を音楽担当にしたところも全て狙ったもの。ほわんとした和製ノスタルジックの空気の中に、ぴんと一本、すごく細いけれど確実に張られた絹糸のような寂しさ。でも、この物語に私の心が寄り添っていかなかった。恒夫とジョゼが、お互いを慕う気持ちがどの表情や行動に織り込まれていたのかよくわからなかった。二人の刹那な時間の中にあるはずの機微が、特に妻夫木聡からは感じられなかった。出会って触れあって離れていく、いわば恋愛映画の王道のような気もする話だったが、優しいキラキラとした時間だけ映されるよりはもっともっと葛藤する場面があってもいいかと思った。まあそれは好みなのでしょうが。脇はみんななかなか良くて、だからこそ主演の力が浮き出て見えた気がする。
【のはら】さん 5点(2004-12-20 01:56:49)
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