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《ネタバレ》 生真面目な、けれどすごく可愛らしいファミリードラマでした。きっと旧東ドイツで育った観客はうんうん、にやにやとしながら観たんでしょうねえ。小ネタのきいた微笑ましいエピソードを積み重ねていくうち(ピクルスの瓶探しがかわいいなあ、特に)、やがて息子が母親のため、っていう元々の行動原理を超えて、自分自身が不意に失ってしまった、安心して将来を委ねてきた社会主義の理想像を自分の手で語る事にのめり込んでいきます。最後にうそニュースでかれだけの輝ける東ドイツの指導者となる彼の元ヒーローの口を借りて語られる理想はけれど、社会主義も資本主義も超えて、若い優しい男のもっともっと素朴な理想像のキラキラ輝くスケッチです。それを優しく見守るすべてを理解した母親の優しい笑顔にはやはりほろりとさせられます。けど、何より素晴らしかったのはやっぱり、あのレーニン像のシーンです。取り払われた旧世界の理想のイコンが太陽に照らされて輝きながら優しく手を広げて新しい世界の訪れを告げる。滑稽なんだけどかなしい、厳しい世界をまざまざと見せながらも優しく受け入れる。何となくみんなのなかに印象的なニュース映像としてあったあの画をなんと鮮やかに甦らせたことか!あのシーンがラストシーンでもよかったのに、とさえ思っちゃいました。あれを思いついた瞬間がこの映画の創り手の勝利の瞬間でしょう。映画全体のなんとなくのぎくしゃく感を忘れる素晴らしいシーンだと思います。あ、あと。えー、ララちゃんかわいいっす。惚れたっす。
【am】さん 7点(2004-12-19 03:43:53)(良:2票)
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