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《ネタバレ》 さすが詩人だけあって、タイトルがいいですね。
田園風景に突拍子もないアイテムを放り込んで、それを違和感なく調和させるセンスがすごい。狂気の世界でありながら独自の秩序を持ち、不思議に整然としている。下北半島を「まさかり」に見立てて、青森県のかたちを「人の首を切り落とす瞬間」だという発想なんて、完全に逝っちゃってる。鈴木清順とはまた違ったおどろおどろしさがあり、寺山なりの世界観が確立されている。天才的に狂っている。 明らかに異次元の世界ではあるけれど、それを通して日本の土俗的精神の本質ともいうべきものを浮き彫りにしているように思った。田舎の人間=心の温かい人間とステレオタイプにいわれがちだけど、日本でもっとも自殺率の高い県ワースト3が東北の三県だったりするように、強固な農村共同体によって苦しめられてきた人々は少なくない(自分も東北の出身だから遠慮なくいわせてもらう)。寺山修司はそうした田舎の暗部を鋭く抉っているように思える。異様な世界観ではあるが、むしろ現実を端的に表した結果としてそうなったのだろう。 母子関係という中心的な題材には共感しにくかったが、最後の独白にはそれなりに胸を揺さぶられた。幻想のなかでなお、寺山を支配する人間関係という呪縛。地方の因習にも似た歪んだ精神の戒律が、彼をがんじがらめにして離さない。マザーコンプレックスについてはともかく、そうした人間同士の「呪」のあり方は理解できるように思った。 【no one】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-02-27 23:34:42)
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