| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 思ったよりも手強い映画でした。移民の成功物語では定番の周囲からの差別の問題や世代間のギャップみたいな話は出て来ず、主人公はひたすら「大地」と戦い、妻は信仰と夫への不信のあいだで揺れ動き、息子とおばあちゃんが少しずつ心を通わせる。息子とおばあちゃんのパートはハートウォーミングで楽しいのだけれど、それ以外は妙にストイックで劇的とはいえない描写が積み重ねられ、最後にたどり着いたのは、積み上げてきたものが崩れることで、バラバラになりかけた家族がかろうじて形を取り戻した、という話。ある意味、あのラストからが本当の「移民物語」のスタートだったのかなとは思うけれど、多用される宗教的メタファーをはじめ、たいへんに知的なドラマであったのだろうと思います(が、自分には響く部分は少なかった・・・)。個人的には、ポール・トーマス・アンダーソンの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に近い手触りの映画。見るときの調子や気分にも左右されそうだけれど、万人にわかりやすい映画でないのは確か。
【ころりさん】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2021-05-04 08:28:51)
ころりさん さんの 最近のクチコミ・感想
|