ザ・ハント(2020) の ころりさん さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > サ行
 > ザ・ハント(2020)
 > ころりさんさんのレビュー
ザ・ハント(2020) の ころりさん さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ザ・ハント(2020)
製作国
上映時間89分
劇場公開日 2020-10-30
ジャンルアクション,ホラー,サスペンス
レビュー情報
《ネタバレ》 あんまり褒めたくないけど、よくできてる不思議な映画。鑑賞中の感想はずっっと「感じ悪い〜」だった。登場人物ではなく、この映画の製作者に対して。脚本のデイモン・リンデロフは、最近だとHBOドラマ版『ウォッチメン』で人種問題を大胆に取り入れたことで知った人。しかし、白人至上主義を叩いた『ウォッチメン』とは対象的に、この映画でカリカチュア化されるのは、リベラルのエリートたち。その人間的なクソっぷりは冒頭から炸裂し、トランプ支持者っぽい登場人物をユーモラスでグロい方法で殺戮する序盤は、もう何をどう考えればいいのやら、という感じだった。この映画の「イヤ〜」な感じの正体は、たぶん、リベラルっぽい人たちもトランプ支持者っぽい人たちも、その描き方が、メディア(とくに敵対する陣営)が描く相手のステレオタイプ的なイメージそのものであることだ。それぞれの「典型的なイメージ」を実体化して見せ、その人たちが殺し合う様を「コメディ」として見せてること自体が、たいへん気持ち悪く、感じ悪い。そのなかで一人超然とした立場にある主人公は、くだらない殺し合いを安全地帯から眺めている「私たち」とも重なる。それは、昨年の大統領選挙の前後、面白おかしくアメリカの政治混乱を眺めていた「私たち」にも重なる。

ただ、その構図の気持ち悪さに耐えられなくなってきたとき、ラスボスであるヒラリー・スワンクが語る「真相」にはちょっと唸った。なるほど、これは単なる感じ悪いメディア・イメージの戦争であるだけでなく、そのメディア・イメージがいかに現実を作ってしまうのかを描いた一作だったのだ。見終わった後、誰かと語りたくなるものの、語る内容によってはその人との関係にも影響がありそうな点も含めて「劇薬注意」という作品でした。
ころりさんさん [インターネット(字幕)] 7点(2021-09-16 14:29:01)
ころりさん さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-22THE BATMAN-ザ・バットマン-6レビュー6.63点
2024-04-13オッペンハイマー8レビュー6.40点
2024-03-19ゴジラ-1.04レビュー7.49点
2024-03-02ウェディング・ハイ5レビュー5.71点
2024-02-27落下の解剖学9レビュー6.75点
2024-02-17モガディシュ 脱出までの14日間7レビュー7.66点
2024-01-29哀れなるものたち7レビュー7.64点
2024-01-28TAR/ター6レビュー6.00点
2024-01-27マエストロ:その音楽と愛と6レビュー6.00点
2024-01-25愛なのに7レビュー7.00点
ザ・ハント(2020)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS