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《ネタバレ》 吹き替えで観ました。題名どおり、美しく、そして幸福な話である。しかし、その美と幸福は薔薇の花弁に象徴されるような凡庸なものとして表れている。レスター・バーナムが自らレポートに書いたように彼の日常は「地獄に限りなく近い」ものだったのであり、そこに美や幸福は存在しなかった。というよりも彼は日常の中にある美や幸福-寒い日に落ち葉とともに風に舞うビニール袋に象徴されるような-を感得する力を失っていたのである。したがって、彼がアンジェラに魅かれることで取り戻すのはそのような微細なものを見分ける力である。それは観察力というより生命力であろう。ラストで、彼は自分を挑発し続けてきたあばずれの少女が、実は精一杯背伸びをした、虚飾にまみれた普通の少女であったことを知る。レスターは彼女の中に美を見い出す。美は彼方にではなく、この腕の中、この目の前に、いじましい嘘とともにあったのである。彼は驚き、彼女から手を離して、ひとりで幸福にひたるのである。そして頭を打ちぬかれて死に、天に昇りながら美はいたるところにあるのだと説き明かす。設定から人物配置まで実によくできている。素晴らしい映画だと思う。
【h.】さん 8点(2004-03-16 16:04:28)(良:2票)
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