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《ネタバレ》 まぐれでヒットした低予算映画の続編はたいていロクなものがないのですが、本作はその珍しい例外。前作の公開からわずか1年で企画→脚本→撮影→編集→公開という凄まじいハイペースで製作されただけに前作の恩恵に預かっただけの駄作になるかと思いきや、前作と同等のクォリティを維持しているのに感心しました。一瞬たりとも飽きさせずハラハラさせっぱなしの演出は見事です。ジグソウの正体がわかっている以上本作に謎解きの要素は少なく、即別的な展開やスプラッタで内容のなさを補っていると言えなくもないですが、過剰なスプラッタがあってこそこのスリルは出せたとも言えるので製作側の姿勢に間違いはなかったと思います。ただし、前作の時点ですでに怪しかったジグソウの行動原理が本作ではさらに危なくなっており、「生の悦びを自覚させるためのゲーム」という体裁がほとんど崩壊寸前のところにまで来ているのは問題だと思います。自分の命を軽んじたり、倫理的に誤った生き方で人生をムダに費やしている者に生死をかけたゲームをさせ、生きていることへの感謝を再認識させるというのがジグソウの目的であり、そのゲームには被験者達の普段の行動を皮肉った仕掛けが準備され、苦痛に耐えてでも生き延びるか、そのまま死ぬかの二者択一を迫られます(セブンのジョン・ドゥと似てますね)。ここでポイントなのがジグソウの要求に耐えれば必ず生き延びる道が準備されているということなのですが、今回のサバイバルゲームには生き延びる道がなかったように思います。死ぬと予定されていた者は死ぬしかない展開でした。また、今回のゲームの最終的な目的は刑事を罰することにありましたが、この刑事が命を奪われねばならないほどの悪人だったとも思えないし。確かに彼は証拠をでっち上げて多くの人間を刑務所に送っており、その行動のツケを払わせると言うのならジグソウの行動も理解できますが、彼がかつて刑務所に送り込んだ犯罪者達をジグソウ自身もサバイバルゲームで罰する対象に選んでおり、つまり彼らが罪人であることはジグソウ本人も認めるところだと言えます。法で裁けない罪人を個人の裁量で罰したという意味ではジグソウも刑事も同じ行為をしたのに、なぜ刑事が処刑の対象になるのかという論理的な矛盾があります。2代目ジグソウが個人的な恨みをぶつけただけの話なら、それこそ説教キラー・ジグソウの名が廃ります。
【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2006-11-26 16:13:10)(良:1票)
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