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レビュー情報
カリート・ブリガンテが麻薬帝国を築き上げるまでを描いた「カリートの道」と、服役後のカリートを描いた「それから」が本作の原作としてクレジットされていますが、映画で描かれるのは主に「それから」。”若き日のカリートを知りたければ「スカーフェイス」をご覧ください”という作りとなっています。やたら絡んでくる新興ギャングを邪険に扱うカリートに向かって、昔の友人が「なぜ奴を嫌う?昔のお前だからか?」と問う場面なんて、嬉しくて笑っちゃいましたよ。。。
安穏を求めるヤクザ者が、その意思とは裏腹に暴力の世界に引きずり込まれていくという物語はヤクザ映画でよく見るパターンであり、おまけに本作は特に捻りも加えていないためお話はあくまで紋切型です。紋切型ではあるのですが、デ・パルマの演出力とパチーノの演技力、そして背後に大傑作「スカーフェイス」を控えさせているという抜群の安定感により、この手の映画としては最高の仕上がりとなっています。ヤクザ映画に興味のない人であっても、本作は十分に楽しめるのではないでしょうか。。。 と、クォリティの高さは十分に評価するのですが、傑作にはなりきれていないという印象です。その理由は脚本にあって、個性的な演出や演技と比較すると脚本は月並みに感じられます。本作の脚本を担当したのはデビッド・コープという人物なのですが、この人は恐ろしくクセのない脚本家で、その仕事は常に可もなく不可もなく。個性や主張は極力抑え、オーダーされたものをオーダーされた通りに作るというもはや”業者”ともいえる脚本家であるため、脚本に力がないのです。例えば「スカーフェイス」にはオリバー・ストーン特有の訳のわからん勢いがパンパンに詰められていて、その爆発力が映画をグイグイと引っ張っていたのですが、本作にはそれがありません。このことが、本作を”よくできた佳作”の域に留めているように感じました。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-05-05 01:49:06)(笑:1票)
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