| 作品情報
レビュー情報
クライマックス直前、マクレーンと息子・ジャックが討ち入りの手筈を話し合う場面。作戦を聞いてくる息子に対して、「作戦はない。ただ撃ちまくるだけだ!」と得意気に返すマクレーン…『ダイ・ハード』ってそんな映画でしたっけ?
当初は『コマンドー2』として企画された『ダイ・ハード』第一作ですが、シュワルツェネッガーから出演を拒否されたためにリチャード・ギアが主演することを想定して脚本が書き換えられ、そのギアからも断られたためにテレビのコメディ俳優だったブルース・ウィリスに白羽の矢が立てられたという経緯があります。主演俳優が変更される中でマクレーンのキャラにも修正が加えられていき、その末に出来上がったのはステロイド漬けの80年代アクションヒーローとは程遠い、若ハゲでおっさん体型の等身大ヒーローでした。テロリストとの勝負となれば、1対1の格闘であっても劣勢に立たされる程度の戦闘力であり、おまけに敵を殺傷することには消極的で、撃つのをためらったために窮地に陥ることも何度かありました。彼は正面切って敵と戦うのではなく、緻密に練り上げられたテロリストのスケジュールに干渉し、その戦力を徐々に切り崩していくという戦い方をします。十分な装備がなく、状況も把握できていない段階では物陰に身を潜めておく、戦闘を開始した後にも、複数人の敵に囲まれて戦況が不利になればとりあえず走って逃げる、こうした現実的な戦い方が『ダイ・ハード』の魅力だったと記憶しています。。。 一方最新作である『ラスト・デイ』ですが、マクレーンは襲いかかってくる数十人の敵特殊部隊を冗談言いながら撃破し、武装ヘリからの攻撃を受けても傷つかない、さらには、チェルノブイリの核施設に普段着で乗り込むほどの超人と化しています。もはや『コマンドー』のジョン・マトリックス大佐をも越える程の戦闘力を誇っており、「マクレーンは敵に殺されてしまうのでは?」という緊張感は皆無となっています。見せ場はインフレ状態であり、アクションが派手になればなる程、映画から緊張感が失われていくという負のスパイラルに陥っています。ビジュアル派のジョン・ムーアが監督しているだけに視覚的な迫力はあるのですが、活劇としての面白みがまったくないために、味付けのなされていないステーキを大量に食わされているような感覚に陥ります。このシリーズも、いよいよお終いの時が来たように見受けます。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 4点(2013-02-17 00:24:57)(良:4票)
ザ・チャンバラ さんの 最近のクチコミ・感想
|