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《ネタバレ》 一流のアニメーターを3人も雇い、制作準備に2年、制作に3年をかけたという異常な作品だけあって、ビジュアルの迫力は圧倒的です。それは、ファーストカットの時点で「これは普通の映画とは別次元の作品だ」とすぐに分かり、その感動がラストまで持続するほどのレベル。さらには、『地獄の黙示録』から直近の『レヴェナント/蘇えりし者』までを手掛るハリウッドトップのサウンドデザイナーを雇って音響にも力を入れており、映像体験という点ではかなり充実しています。
本作のテーマとは一体何だったのか。それは、「人間はなぜ己のコピーを作ろうとするのか」ということでした。このテーマは序盤にワンシーンだけ登場した女性検視官・ハラウェイの「愛玩用アンドロイドはなぜ人の形、それも人体の理想形を模して造られる必要があったのか」という問いと、終盤に登場するハッカー・キムの「真に美しい人形があるとすれば、それは魂を持たない生身のことだ」という回答により説明されています。人間は自分がどう見られるかを常に意識し、よく見られようと努力をします。しかし、そうした目的を持って生み出された美は所詮まがい物であり、無意識に・無目的にそこに存在する美こそがホンモノである。人が自然や野生動物に魅了されるのはその無目的さの中に美が宿っていることへの感動なのですが、自意識を持つ人間にはそれができない。だからこそ自意識を持たない人形に究極の美を託しているのだと言うのです。 「人は魂(ゴースト)のない抜け殻(シェル)を求めている」というこのテーマは、「抜け殻(シェル)にも魂(ゴースト)は宿り得る」という前作『ゴースト・イン・ザ・シェル』のテーマと対をなすものであり、これはこれで興味深いと感じたのですが、他方で感じたのがその語り口のマズさでした。前述の通り、本筋とはあまり関係のない脇役2名がこの主題のほぼすべてを説明してしまっており、その他の膨大な引用台詞は主題とは無関係な、ただ観客を混乱させるだけのノイズになってしまっています。難解なようでいて、よくよく聞けばすべての台詞が主題と密接に絡み合い、結論へと繋がっていることが理解できた前作と比較すると、本作にはどれだけ熱心に聞いてもその意図を理解できない台詞が多く、随分と洗練されていないという印象を受けました。 【ザ・チャンバラ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2018-01-27 02:29:44)
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