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《ネタバレ》 パターソン市で生まれ、今もこの街で生きるバスの運転手で余暇に詩作をする若者パターソン君が本作の主人公。
朝、恋人と一緒のベッドで目覚め、出勤し、バスの発車前のわずかな時を利用しノートに詩を書きとめる。 同僚との会話の後バスを発車させる。運転中はパターソン市民である乗客の会話が作品をうまくつないでいく。 仕事が終わり、恋人と食事をしその日あったことを話し、犬の散歩、そして行きつけのバーで人のいいマスターと常連客達とのやりとり。 毎日ほぼ同じ行動の繰り返し。時にトラブルはあるが基本的に大事件は何も起こらない。淡々としたパターソン市とパターソン君の日常。 でも、多くの人にとって、日常ってそういうもの。 パターソン君の行動範囲に定点カメラが据えられているか如く、規則正しく彼の毎日を映し出していくので、 淡々と抑揚のない作品でありながら、作品のテンポがとてもいい。 今日は同僚とどんな会話をするのか、どんな乗客が乗り込んで来るのか、 さて、日も暮れてそろそろバーに出かける時間だな。意外性の無い彼の日常が次第に楽しみになってくる不思議な心地よさ。 パターソン君とパターソン市の人々や恋人とのやりとりに挿入される、 クスッと微笑ませてくれるような普通の人々の日々の暮らしの中にあるささやかな笑いドコロ。 このあたりには実にジャームッシュらしい独特の空気、そして楽しさがあります。 特に今日は何を言い出すのか、明るく朗らかな恋人の存在が淡々とした日常を描く作品の中でいいアクセントとなっています。 架空の町ではなくアメリカに実在する町パターソンで生まれ、 仕事の傍ら詩を発表し続けた実在の詩人に捧げるという意味合いもあるであろう本作「パターソン」の主人公は パターソン君であると同時に、この詩人を輩出し、様々な愛すべき人物が登場したパターソン市そのものでもあったのでしょう。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2018-08-12 20:12:34)(良:1票)
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