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《ネタバレ》 大好きな一本。一面白銀の世界で繰り広げられる事件は、どんどんと思わぬ方向へ進んで行きます。よどみのない白銀世界という舞台と、犯人達が引き起こすドロドロのサスペンスが対照的です。この映画、冒頭で「実話」と言っていますが、本当はフィクションだそうです。どこか別の事件を参考にはしているのかも知れませんが、この映画の通りの事件というのはなかったそうです。確認はできないですが、エンドロールにもそう記載されているそうですし、なにより、コーエン兄弟がニューヨーク・ポストにことの真相を明かしています。ちょっと検索すれば出てきますよ。そういう「罠」を含め、どんどんとストーリーに引きずり込まれていく工夫がたくさんあります。よく喋るブジェーミと寡黙なストーメアのデコボコ犯人コンビ、コンビのことを「変な顔」「マルボロマン」といいつつも臆面もなく寝たことを明かす女の子、そしてその方言か知らないですが「ヤー」の連続には笑いを堪えきれません。それぞれのキャラクターもたっていて、あまり知らない俳優でも一回見たら忘れられないインパクトがあります。音楽も不安を掻きたてつつ、白銀世界にマッチしたもので、やはり観るものを引き込みます。ラストは常にあやしい雰囲気をかもし出していたストーメアがすごいことをやらかしてしまいますが、なぜそれほどまでの行動にでたかの背景などを説明することなく終わってしまいます。しかし、それが逆に新鮮で、何でもかんでも説明されるより、謎のようなものを残しておくことで、よりサスペンスとしての不気味さが際立つのだと思います。本当にコーエン兄弟というのは観客を楽しませる才能に秀でているなと感じさせる映画です。「実話」というプロローグを深く考えたら負けです。半信半疑で観るくらいがちょうどいいのです。社会派の監督ではなく、エンターテイメントの監督なんですから。それから、僕はこれを観てブジェーミのファンになってしまいました。ホントに変な顔で、面白くて、可哀想で、いろんなブジェーミを堪能できてしまう。ブジェーミファンなら絶対に観るべき映画ですよ。
【マクドウェル】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-06-22 02:08:47)
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