| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 今では何の疑いもなく巨匠扱いされるようになったリドリー・スコット監督だが、実は初期の傑作から最新作に至るまで「映像には徹底的に凝るが、物語描写は残念な人」であったことを思い出した。特に、思わせぶりで観念的なテーマを扱うと悪い癖が出る。自由な発想のSF作品では観念的な暴走に歯止めが効かない。
プロメテウス船内をはじめ、ケレン味たっぷりながらシャープで格式ある映像美はさすが。そしてブツ切りで唐突な展開もさすがリドリー・スコット。 白い巨人が液体を飲んで滝に身を投げるファーストシーンから、不死身ヒロインがアンドロイドと一緒に巨人の母星へ殴り込みに行く(?)ラストまで、全て何かおかしい。どう見ても危険な状況なのに、何度も進んで無防備に近付いていく登場人物全てがおかしい。未知の物質に感染し火炎放射器で焼かれた科学者が蘇って暴れるあたりは完全にゾンビ映画だ。地球に向かう(と何故か確信した)巨人の船を止めるべく特攻をかけるプロメテウスの船長も謎だし、何故か真っ直ぐにしか走らず潰されるシャーリーズ・セロンも謎のまま。 根本的に脚本に難がある失敗作であるのは間違いないが、だからといって駄作と簡単に切り捨てるにはしのびない奇妙な愛着も感じる。これは製作まで兼ねて作品をコントロール出来る立場にいるリドリー・スコット監督の趣味の世界であり、良くも悪くも作家としてのピュアな個性が出た結果ではないだろうか。 少なくとも、完全版なり全長版が出るなら私は観たいと思う。愛すべき超失敗作だった。 【i-loop】さん [ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-01-23 05:17:12)(良:4票)
i-loop さんの 最近のクチコミ・感想
|