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《ネタバレ》 なるほど、皆さんのレビューを読んでみたら酷評されている理由がなんとなくわかりました。ストーリーのみを追って行くと、退屈で仕方ないかもしれないですね。映画は娯楽であるという観点から言えば、限りなく0点に近くてもおかしくないかもしれません。しかし、本作の良いところはもっと根本にあると思います。人間が第二の誕生を果たすと、必ず誰しもが「生きる意味」について考えますよね。「生」と「死」が自分の中で葛藤し、自分がしていることに虚無感さえ抱いてしまうこともあります。本作はこれがテーマだと見ます。これを見つけられなければ、終始退屈と感じることは必至でしょう。当然、出てくる答えはありません。それでもわかっていることは、これからも生き続け、やがて死を受け入れなければならないということ。そこに中途半端さを感じた方がいらっしゃるかもしれませんが、逆に結論が出てきてしまうと、それこそ説教臭くなってしまうのではないでしょうか。これは説明不足ではなく、必然的であるように思えます。先に書いたように、娯楽という観点からの評価は低いです。ジブリが「ブランド化」してしまっているので、世間が、万人が楽しめる作品を望むのは当然だと思います。本来、アニメーションの主人公であるはずの子供が無視されており、その点は僕も残念です。しかし、本作は昔のジブリ作品を観て育った大人へ向けて作られた作品であると理解します。劇中では問題提起のみで、後は自分で処理をしなければならないのです。ジブリであるからこそ作られた作品が、ジブリであるがために酷評されてしまうのは大変残念です。しかし、こうした内容を、初監督作品にして真っ向から描こうとした宮崎吾朗監督には拍手を贈りたいと思います。
【こばやん】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-08-05 22:22:25)(良:3票)
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