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《ネタバレ》 富士の樹海を舞台にして、自殺を物語の中心に据えていることから、終始重苦しい空気の中で語られていくのかなと思いきや、各エピソードの入り口には破滅や絶望があるものの、登場人物たちの心情が解きほぐされていくうちに希望の光が見えてくるような構成と展開。感涙に咽ぶという作品と言うよりも、後からじんわりと温められて行くような感覚でした。
死と生を対極的に描くことなく、ひとりの人間が常に併せ持つものとして寧ろ一体的にと言うか、当たり前に描かれているように感じられ、それは数多ある死、とりわけ自殺をテーマにした作品の中でも新鮮な感動を覚えるものでした。 どの登場人物(死んでしまった者、生き残った者、直接・間接に関わった者)にも、それぞれの境遇や立ち位置から生と死についての気付きが描かれていて、正直なところ個人的に感情移入することは難しいのですが、現実問題として捉えるに大いに感慨深いものがありました。 強いて言わせていただくならば、冒頭のバスのシーンや黄色いビラ等、ひとつ間違えば無理筋になりかねないような人生の交差点的設定は無くても成立したような。各エピソードを演出的に交錯させるまでもなく、観る者の心の中で織り交ぜて考えさせてくれる作品でした。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(邦画)] 8点(2025-04-19 10:50:19)《新規》
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