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IMDBという有名な映画データベースのサイトでソクーロフの事を調べたら、新作(2007年製作、"Alexsandra"というタイトル)が既に作られていた事が分かった。ある老女がチェチェンの軍人キャンプに滞在する自分の孫に会いに行く、というお話らしい。まあ内容はいいとして、とりあえずビックリしたのは主演(と思われる)の老女を演じるのがなんとガリーナ・ヴィシネフスカヤ、つまり本作に出演した故ロストロポーヴィチの奥さんなのである。どうやらソクーロフは自分の欲望を抑え切れなかったらしい(笑)見ればわかるのだが、このドキュメンタリー映画の主役はロストロ氏でもなくクラシック音楽でもなく、間違いなくロストロ氏の奥さん:ヴィシネフスカヤである。ソクーロフはことによるとヴィシネフスカヤに会いたい一心で、ロストロポーヴィチという世界的なチェリストをダシに、この映画を作ったのでは、という気すら起こる(ちなみに彼女は有名なソプラノ歌手であり映画にも数本出たことがある)。ソクーロフの映画から芸術の二文字が消えた時、それは極めて魅力的な作品へと昇華するが、本作もドキュメンタリーながら彼女への私的な偏愛振りを隠そうとせず、しかもそれが変なねちっこさを持たずどこか突き抜けた変態ぶりでもって、被写体の彼女に迫っているようだ。そしてやはりラストが素晴らしい、というかビックリした。これは是非見て頂きたい。タルコフスキー的な風土を背負いながらもそこに妙な楽観性・通俗性を同居させ、さらにはとんでもないハッタリまでかますソクーロフ、「太陽」の次の作品がこの作品というのもまた、らしいというか。
【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-09-20 21:04:01)
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