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《ネタバレ》 まずは一言!荒々しい!この作品の感想としてはとにかくこの一言に尽きる。冒頭からして男臭くて荒々しいのである。坂本竜馬、最初の登場シーンからしてとにかく男臭くて荒々しい。後ろ姿でふんどし姿、ケツを半分出したままの坂本竜馬、ここでこの坂本竜馬という人物像、ほとんどの方が頭に描いているような美しくてかっこ良く、二枚目な坂本竜馬像を覆してしまうほどの強烈な印象を残します。よれよれの服に女に弱く、だらしのない駄目男のような竜馬、同じように中岡慎太郎もこれまた女にだらしなく駄目な男の象徴のようなものを見せます。そんな二人の駄目男演じる俳優、原田芳雄と石橋蓮司のギラギラ感、本来、時代劇とは、侍とは何かっていうものをここで見せつけます。ただ見た目だけ美しくかっこ良く何でも見せようとする現在の時代劇とは大違いである。男たるもの、それが侍であろうが、一人の男として荒々しく女に弱い生きものであるという事を解り易く描いている。仲間だろうが、敵だろうが、よれよれの服を着ていることで誰が仲間で誰が敵なのか解らないような緊張感をあのギラギラした太陽とまるで真夏のような暑苦しさ漂うモノクロの映像により見ていて本当に暑苦しく思えるほどのこの監督の演出により役者も皆、ギラギラしている。松田優作の右太にしても何を考えているのか解らないほどの恐ろしさを感じるし、女にしてもそうである。桃井かおりの印象があまりにも薄く思えてしまうほどの強烈な印象を残す中川梨絵という女優の演技が怖い。男達を迷わす、狂わす女の怖さ、坂本竜馬と中岡慎太郎が殺された後のラストのええじゃないか♪ええじゃないか♪と聞えてくる大勢の人の中、血のついた顔で不気味な顔して消えていくシーンにはぞっとざられる。時代劇、活劇としての迫力やテンポという意味で不満もあるが、それにしても役者達の凄みのある演技があるからここまでの作品にし上がっていると思う。最後に幕末時代を駆け足に生き抜いていった竜馬の壮絶なまでの死に様に、そして、脇役でも輝る演技を見せている松田優作の若くしての死を思うと残念でならない。日本は坂本竜馬と松田優作というこの全くもって別の二人の人物を若くして失ったことは本当に大きな痛手であると思います。
【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-05-04 10:25:39)(良:1票)
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