セルビアン・フィルム の 映画の奴隷 さんのクチコミ・感想

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セルビアン・フィルム の 映画の奴隷 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 セルビアン・フィルム
製作国セルビア
上映時間104分
劇場公開日 2012-01-21
ジャンルホラー,エロティック
レビュー情報
いやいやいやー…観てきたんだが……ついに。
本作品については、観たい思ってもBlu-rayもDVDも高くて買えず、ずーっと観れてなかった。
作品自体は2010年の制作なんで、再び4kに移行しつつ…新たに公開まで漕ぎつけたのはマジで驚嘆。
いや、スタッフさんらの行動や熱意は「マジで大したものだなー」と思う。

俺は……意外とアレ。
俗に言う「キワモノ」とか「グロい」映画は…かなぁり好きで、よぉぉぉぉぉく観る。
でも、スプラッターが好き!ってんじゃなく(まぁ、表現として有っても良いけど)人間の尊厳などに対して、何かが(特に人間が)凌辱する様に(何故か)神経を揺さぶられるので、そこの有無が大きなポイントとなる。

まず、閲覧に赴く前…少し体調が悪かったので「またにしようかな?」と思ったんだけど…もう、そろそろ上映も終わりそうなので強硬的に出発。

――そしたら、アレ。

人が多いわ~、大雨が降るわ~で、俺が「渋川剛気(By刃牙)」なら……「むぅ、この先…どんな化け物が待ってるんじゃ…」と躊躇してただろうな…いや、マジで。
その後はTSUTAYAに飛び込みBlu-rayを観ながら(雨でズボンがビッチャビチャだし)時間を潰しつつ…そのまま映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」に向かったんだ。
ここは10年くらい前かな?光宗薫の「女子カメラ(2012)」を観に来た思い出がある場所。

そして、映画の時間が来た!

この手の映画を観る際…いつも俺が留意している点は1つ。
映画として「手法が確立してなければ、幾ら話が素晴らしくても評価しない」って事。
そういう意味で語るなら、この作品はしっかりとしたスタッフが揃ってたと思うし…特に「カメラワーク」と「音響」が素晴らしいな、と感じたのを付け加えておく。

――世界各国で放映禁止をされた映画。
――見た目の「物理的な不快感」か?
――それとも「心理的なタブー」なのか?

そんな感情を胸にして映画館の中に入った…。
ともあれ、今回のバージョンではモザイクなどの画面処理は極力考慮したと聞いたので、そこも期待。
いや、それって絶対大事なんだよね…俺的には。
あの名作「時計仕掛けのオレンジ」なんかでも、そのモザイクのせいでAV感が出ちゃうからね…。

確かに(多少悪趣味ではあるが)恐ろしい…っつーか、胸糞な映画だと思う。
意外だったのは、思った以上にスプラッターなシーンは無かったし、そこを売りにしてる映画でもないんだなーと把握。

――ただ、考える。

自分にとって大事なものを、誰かの手で「さも面白そうに破壊される」事が恐怖なんだな、と。
その恐怖ってのは、どこの国の人間も持っている事だろうし…少しばかり言い換えれば、そこを人は恐ろしく感じるだなーと思った。
恐ろしい、そして…ただ胸糞悪い。
何でもセルビアという国の成り立ちが、この映画のメタファーだと聞いたので、そこも調べてみようと思う。

だが、だ。
本音を言うと…俺はフツーに観れたんだよな…マジで。
確かに恐ろしいし、胸糞悪さ100%だけど…俺が生きてる「この世界」の方がよっぽど胸糞悪い。
例えば…苦い薬ってのはオブラートに包もうが(その場で)苦さを感じなかったとしても…本来の味は変化することなく体内に飲み込まれてゆく…
そう、それは「薬」であろうが「毒」であろうが…オブラートに包んだまま飲まされ続けて、苦みがしないから気づいてないだけなんだ。

要は、全ての物事をリアルに感じて常に想定していれば…世の中ってのは栄光に包まれた素晴らしさの反面…例えようのない胸糞の悪い事なんか、幾らでも溢れて、ゴロゴロと転がっている。
細かい事件とか差異は兎も角として、俺はそういう世の中を生きてるお陰で「ああ、こういう不幸ってのもあるよな…」って、この映画をしっかりと受け止める事が出来た。

恐ろしい…気分が悪い。
そして、胸糞な感覚がこの上ない映画だった。

この―――セルビアン・フィルム。

二度と観たくない!
その感情も人の評価だし…そうすりゃいい。

けど、俺は…避けては行かない。

俺は忘れないだろう。
そして、俺の人生でも「あり得る」と思って生きて行くしかない。
もし、同じ目に遭ったら…嫌で嫌で仕方ない。
絶対的に絶望してしまうが…それが世の中だからだ。

――悲しいか?

けど、後悔しないように、と願いながら…
今日も、明日も生きてゆくしかない。


人生ってのはそんなものだ。
映画の奴隷さん [映画館(字幕)] 8点(2022-08-04 15:17:34)
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