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映像も音楽も美しく、予想以上の仕上がり。黒木瞳の登場シーンなどまさに出色の出来。しかし肝心のお話が、どう仕様もなく面白くない・・・?なぜ頼子はあんな行動をとったのか?木場は?雨宮は・・・?原作ではそれこそみっしりと綿密な描写がされていた登場人物の心理が、行動原理が、映画ではぽっかりと抜け落ちてしまっているため、ストーリーの面白さが大幅減となってしまった。面白い「映画」たろうとするあまり、中身を失った、それこそ空虚な箱のような作品だったと思う。
映画としてはそれなりに見所があると思うので、原作を既読の人、今後も一切原作を読む気の無い人には結構おすすめの作品だが、『魍魎の匣』という小説に少しでも興味がある人は、小説を先に読んだ方が幸せかと。文句なく面白かった原作のストーリーは大幅に変えて別物にしているにも関わらず、要所要所は全てネタバレしているというどうにも困った脚本につき。 最後に、「幾らでも美文が書けそうな技量を予感させておいて、それががたがた崩れて行く」とは久保の台詞だが、意外と監督の目指したものはここにあったのかもしれない。至極好意的な見方をすれば、だが。 【Mum,theSanChrys】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-12-30 17:54:21)
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