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《ネタバレ》 「レクター博士がバイクに乗って平原を疾走する」。本作について自分が持っていた知識はこの程度。でも鑑賞する動機には十分でした。風を切る爺さんの画が途方も無く魅力的に思えたから。ひとつのシチュエーション、一枚の画によってイマジネーションが広がりました。そういう空気を持っている映画は好きです。自分の夢を叶えるために、長旅を決める主人公。その決断までに劇中で要した時間は僅かです。しかし長い歳月、ずっと心に思い続けてきた夢。だから即断出来た。残された時間は長くない。今行動しなくては、夢は夢のまま終わってしまう。主人公の強い意志が伝わってきます。その決断には納得できました。彼と同じ境遇なら、誰もが同じような気持ちになると思います。でもほとんどの人は、現実の行動には至らないとも思います。失うものは目に見えるのに、得るものは定かではないから。勝ち目の薄い戦いに挑むのは、若者の専売特許だから。酸いも甘いも噛分けた老人が、自らの夢をまだ追える。それだけで元気が貰えます。羨ましいと思う。もっとも、残された時間の重みを知る老人だからこそ、決断できたのかもしれません。一歩間違えば死が待っている危険なレースに命を懸けられる理由も同じ。納得できる時間を使いたい。なるべく後悔が無いように。そういう時間を多く持てた人の人生は、きっと素晴らしい。良い結果が得られた人はベリーハッピー。そうでない人もハッピー。ですから、記録を塗り替えたこと以上に、あの場所までたどり着けたことに感動します。レースに参加できたことを喜びたい。沢山の良い出会い無くして、彼はあの場所に辿り着けなかった。インディアンに乗ることは叶わなかった。彼は人に恵まれました。半分は運です。でも、もう半分は彼の人徳ゆえ。主人公の人柄が幸運を呼び込んだのだと思います。人は一人で生きているのではない。多くの人の支えで生かされている。活かされている。旅は人生を端的に表しています。だから自分はロードムービーが好きなのだと思う。
【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-09-25 18:41:10)(良:2票)
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