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《ネタバレ》 本サイトでの高評価を受けて鑑賞することに。ただ、レビュー内容には一切目を通していなかったため、ジャンルさえ知らずに映画に望みました。果たしてこれが大正解。先入観なく観られたことは、本当にラッキーでした。もしお住まいの地域で、まだ劇場公開されているようでしたら、予備知識を仕入れずに、速やかに劇場へ足をお運びすることをオススメします。 さあ、では沢山ホメていきましょう。まずキャスティングから。靴屋の倅は好感度抜群。関めぐみは芯の強い女性を好演していました。大塚寧々からも憂いが感じられて良かった。年歳が味になっています。そして瑛太。ルックスだけでなく、若手トップクラスの演技力。そして役者としての“雰囲気”がある。得難い武器だと思います。もちろん脚本も素晴らしいです。序盤は完全なコメディ。田舎モノの青年が騒動に巻き込まれていく。戸惑う様が微笑ましい。しかし、途中から劇的に物語は転換します。コメディからサスペンスへ。事象を一つの視点から追うのには限界があるとつくづく思う。もっとも表も裏も知ることなんて、普通は無理です。与えられた情報で判断するしかないのが現実。でもヒントは出ているのかもしれない。例えば「広辞苑」と「広辞林」を間違えた理由は?買ったばかりの教科書が消えているのは?正解を探すよりも、自分が納得できる結論を選んではいないか。でもそれは、可能性に蓋をしていることも忘れてはいけない。難点を挙げるなら、タネあかし部分。爽快感よりも悲壮感が勝るのがツライところ。詰まる想いがクドさに繋がってしまう。物語の性質上仕方ないとはいえ、編集には一考を要すると感じました。ラストの解釈。あのあと瑛太はどうなったのでしょう。靴屋の倅は?ロッカーの神は目隠し状態。ですからブータン人の論理「善行を行う人は死なない」は当てはまらない。神の目は行き届いていません。瑛太を待っているのは悲劇でしょう。世の中はウソで溢れている。でもウソではないウソもある。それを今回の件で知った靴屋の倅が、両親の言葉をどう聞いたのか。彼はもう戻って来ないと感じました。これが自分の解釈です。でも数多在る可能性の中の一つでしかありません。これまでの出来事、台詞のひとつひとつが、全て結末への伏線に思えます。どの伏線を活かすかは個人の判断に委ねられている。だからとても悲しい物語なのに、どこか優しいのだと思う。
【目隠シスト】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-10-01 18:51:34)(良:4票)
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