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《ネタバレ》 冴えない自分を好きだと言ってくれる女性が、若くて、美人で、性格も良く、しかも処女だという。おまけにムチムチ。例えるなら、純白生クリームのホールケーキ。瑞々しくて甘そうな苺付き。どうぞ召し上がれ。そんな時、“自分が手を付ける前に”ケーキをぐちゃぐちゃにされたらどうでしょうか。苺は見る影もなく、ところどころかじった跡。穴まで(!)開いちゃってる。こんな事をされて、怒らない男はいません。これは、自分の所有物を汚された事に対する憤り。可哀相な彼女の為ではありません。自身のプライドのために男は戦ったのです。YOUに焚きつけられた側面もあったでしょう。でも、名作映画を観なければ高まらないモチベーションでは、格上の相手に歯が立たないのは道理。実力差を補う“必死さ”が足りないのですから。鈴木さんは慰めてくれましたが、あの負け方では大いに不満が残ります。噛み付け、引っ掻け、くらいつけ。小便垂れる度胸があるなら、大を塗り付けてやれ。“絶対に負けられない戦い”ってそういうものだろ!(失礼、熱くなり過ぎました)。失意の男を待っていたのは、女の追い打ち。まさかクズ男の体の心配とは。体のみならず、心まで調教済み。本当は僕の事が好きなんでしょ。君は僕の物でしょ。心の拠り所が完全消滅した瞬間でした。惨めさ、ここに極まれる。それは心地良い悪夢の終わりも意味しました。悲劇のヒーロー、滑稽な独り相撲の千秋楽。男が勝手に思い描いた、都合の良いお伽噺は存在しなかったワケです。思い返せばヒントは出ていました。それはタバコ。処女が吸うタバコ。おぼこのお姫様がタバコを吸うはずがないのです。現実に引き戻された男は走り出します。心臓を無理やり動かさなかったら、自分が消えて無くなってしまいそうだから……。主人公田西の人物造形が秀逸でした。中途半端な善人ぶりに感情移入しまくり。おかげで、歯痒くて、痛くて、苦しい思いを沢山させていただきました。でも本作のMVPは黒川芽以で決まりでしょう。絶妙のぽっちゃり感にノックアウト。『グミ・チョコレート・パイン』もそうでしたが、この当時の黒川は無敵の可愛さです。
【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-06-25 18:57:49)(良:3票)
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