さがす の 目隠シスト さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > サ行
 > さがす
 > 目隠シストさんのレビュー
さがす の 目隠シスト さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 さがす
製作国
上映時間123分
劇場公開日 2022-01-21
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》 胸糞な展開やエグい描写で心を搔き乱す映画を私はあまり評価しません。エンターテイメント上のテクニックを感じないから。吊り橋効果を利用した興奮や感動に興味はありません。そういう意味で、私は園子温監督作品を好みませんし(いつも引き合いに出してすみません)、本作もそんな映画の類かと思われました。しかし観終えて予想は見事に裏切られました。刺激的な要素は物語を紡ぐ一要素でしかなく、本作の本質はミステリーであり、そして何より親子愛を描いた濃厚なヒューマンドラマでありました。おそらくラストは近年の邦画史に残る名シーンと思われます。父と娘が卓球でラリーをしながら言葉を交わすのは僅か5分ほど。言葉のひとつひとつ、表情、空気と間を噛みしめ、2人の心を読み取ってください。パトカーのサイレン音に「お迎えが来たで」。いつもの軽口に重力が発生する異空間。私は父の立場に我が身を重ね、切なくて、やるせなくて、いたたまれませんでした。しかし救いはあります。我が子は何と立派なのかと。楓はまだ中学生。普通は真相を知っても金縛りでしょう。然るに彼女は父と堂々と対峙し、その非を咎めました。残酷です。無慈悲です。でも彼女は正しい。正しい子に育った娘を誇りに思わぬ親は居ません。「うちの勝ちやな」娘の勝利宣言は、まさに子が親を超えた瞬間でもありました。父が感じたのは嬉しさと寂しさか。それはこんな修羅場にあっても変わらないと思います。礼儀や躾はイマイチだけど、それを補って余りある強い魂を楓は持っています。
どの役者さんも文句なく素晴らしく、満遍なく褒めたいのですがキリが無いので一人だけ。となると、私的にはやはり佐藤二朗氏に言及したい。クセが強い独特な演技スタイルは福田雄一コメディで脚光を浴びていますが、本作のようなシリアスドラマにこれほどマッチするとは驚きでした。本当に素晴らしかったです。今まで色物系キャラクター俳優との認識でしたが、大変失礼いたしました。見方を改めます。超一流の実力派俳優で間違いありません。大拍手です。
目隠シストさん [インターネット(邦画)] 9点(2022-08-04 14:28:44)(良:2票)
目隠シスト さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-22黄龍の村7レビュー6.75点
2024-04-16ある閉ざされた雪の山荘で7レビュー5.00点
2024-04-12大河への道8レビュー5.75点
2024-04-07隣人X 疑惑の彼女6レビュー6.00点
2024-03-10アンブレイカブル9レビュー4.56点
2024-02-28マダム・ウェブ6レビュー5.62点
2024-02-24ボーはおそれている5レビュー5.60点
2024-02-1121ジャンプストリート7レビュー6.00点
2024-02-09嘘八百 なにわ夢の陣6レビュー4.50点
2024-01-29スカイハンガー3レビュー3.00点
さがすのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS