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言うまでもなく映画史にその名を刻むクロースアップの映画なのだが、問題なのは顔のクロースアップによって構成されているという点にある。裁判という言語的な題材をサイレントで撮る。顔で撮る。表情で撮る。それはけして非言語的ではなく極めて言語的な試みである。精神的事実を、魂を、敬虐に語るには表面的な言語では限界があり、表情という抽象性にこそ術がある。ただの切り返しショットではない。精神性を抉り出すかのようなローアングル、行き交う視線、静観するハイアングル。室内にも拘らずあまりに動的な映像は言語的積極性に溢れており、そのモンタージュによるところの動は火刑にいたって至高のものとなり、情動を与える。その精神性を唯一の術によって顕在化した非のない映画である。
【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-29 02:25:41)(良:1票)
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