| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 クロエ・ジャオ監督が中国系だからなのか、全体的に東洋的な無常観のような空気が漂っている印象を受けました。
おそらく、ケン・ローチがこの作品のテーマを扱ったなら、弱者を冷淡に切り捨てるアメリカ社会の闇の部分や、大企業の弱者に寄り添う体を装った貧困ビジネスの偽善を徹底的に糾弾するような作品を作っていたと思います。しかし、クロエ・ジャオは、ただ、ノマドたちの姿をリアルに映し出すことにより、まず、「可哀想な弱者の彼らを何とかしなきゃ」というような観客の同情を拒絶します。それにより、アメリカ社会の問題だけでなく、人生いろいろな問題がある中でどう生きるべきかという問題提起にまで観客の心に問いかけてきます。この禅問答のような深みがおそらく西洋人には新鮮で、この作品がオスカーに選ばれた要因なのかなと思います。(ただ、東洋に生まれ育った者としては、そこまで新鮮ではなかったですが) フランシス・マクドーマンドの演技も素晴らしかったです。 【TM】さん [映画館(字幕)] 7点(2021-05-03 21:31:56)(良:1票)
TM さんの 最近のクチコミ・感想
|