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《ネタバレ》 これほど、乗り物が道具が自然が、そして人間が有機的に機能、連携し、流動的に姿を変える映画を観た事はない。
映画内でサリーと妻は直接会う事はない。「電話」という手段が文字通り二人の意思疎通を助け、絆を繋ぐというこれ以上にない役割を果たす。 飛行機の不時着の場面。テレビのニュースが現状を映す事で、音声だけでは伝わらない画面としての説得力を、安心を、妻は「テレビ」から得る事ができる。 このテレビと電話の無償の補完関係の美しさ。 報道陣からサリーを守り目的地まで運ぶ「車」の頼もしさ。 飛行機が不時着し、役目を終えてもなお4本の腕で乗客を支える「飛行機」の健気さ。今まで見せた事がない新しい側面。 そこにすかさず、四方から駆けつけ人命を救助する「船」。船では助けられない、川で溺れる人を空から救う「ヘリコプター」。 人間同士の連携はもちろんの事、この乗り物同士の無償の奉仕性、有機的な連携は感動以外のなにものでもない。 そして川、水が人命を助ける場として機能する愛しさ、もっと言えば水が凶暴さを潜める新鮮さ、水が水として機能しないさま、それは映画史への挑戦でもあると思う。 人間同士の爽やかで、柔軟性がある関係性は言うまでもない。 100分にも満たない時間、一見すれば単純にも思えるストーリーラインの中で、これほどまで奥深く濃厚で感動的な映画体験を出来る幸せを感じた。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-08-16 16:32:57)(良:1票)
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