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アカデミー賞を受賞したからといって良い映画とは限らない。こんな公式は映画ファンなら誰もが承知していることだろうが、やはり邦画が受賞したとなると嬉しい気持ちがないわけではない。受賞直後に本作の興行成績がうなぎ上りに上昇したことは記憶に新しいが、こういったコテコテの純日本産の作品が世界で認められたというのは日本人としてはやっぱり喜ばしいことなんではないだろうか…。話が逸れたが、実際のところ映画の出来自体は平凡なものだ。しんみりと感動したいと思って見てみたら、じわじわと感動出来て良かった、といった程度のものであろう。だがこの作品の偉業はそこではなく、やはり“納棺師”というテーマに着目したことにあると思う。こんな職業があることなんて日本人の多くは知らなかっただろうし、そもそも「死」というものに進んで興味を持つ人はあまりいない。そんな取っつき難いテーマを、前半の程よいユーモアを交えて見やすく知れたというのが、本作を見て良かったと思える部分だろう。職業差別を受けるところなどはやや過剰な気もしたが、全体的にウソ臭さもなく映画にすっと入っていけた。そして何より、劇中に出てくる食べ物がおいしそうなのだ。考えてみれば、我々は「命あるもの」を食しているわけなんだが、この鮮やかな描写も実に心地よい。認められて然るべき作品だとは思う。
【ドラりん】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-04 23:25:26)
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