ドッグヴィル の 塚原新 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ト行
 > ドッグヴィル
 > 塚原新さんのレビュー
ドッグヴィル の 塚原新 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ドッグヴィル
製作国デンマーク
上映時間177分
劇場公開日 2004-02-21
ジャンルドラマ,サスペンス
レビュー情報
 奇をてらったように感じるスタジオセットでの撮影ながらも、3時間もの長尺を、飽きさせることなく見せる演出力は、この監督の認めるべき才能だと思います。多くの方が指摘されているように、演劇・小説・映画を融合させた実験は、成功したと言ってもいいのではないでしょうか。また、グロテスクな描写を排したり、ニコール・キッドマンを主役にキャスティングすることなどで、メジャーな商業映画の枠内に滑り込ませるという、バランスの取り方も巧妙だと思いました。実際、120を越えるレビュー数は、決して少なくない人たちが観賞した証だと思います。
 しかし、残念ながらこの映画を見た後で、心に感じたこと、残るものはほとんど無いという印象を持ちました。3時間ものボリュームに加え、人間の暗部を描くという重苦しいテーマにも関わらず、見終わった後に観客に対して、考えさせるものがほとんど無いという、肩透かし感を強く覚えました。
 その原因は、作家=監督の意見・考えが見えてこないからです。人間の醜さや、心の闇の部分、自己中心的なふるまいなどが次々と映画の中で描かれていきます。しかし、それに対しての監督の見方は決して描かれません。「人間の暗部をえぐる」といった言い回しが使われますが、えぐりとったものを監督がどう料理するのかが、本当のドラマの部分なのではないでしょうか。言い方を変えれば、人間の暗部を提示するだけなら、誰にでもできるはずです。
 「どうです、人間って醜いでしょう」と提示したテーマに対して、例えば「でも、人間にはいい所もあるから好きだ」とか「だから、醜くならないように、努力して生きよう」などの監督なりの考え方の提示が必要だと思います。観客は、そこに共感や違った意見などを感じるのであり、それこそが映画における「対話」なのではないでしょうか。
 才能はあるが、対話はない。映画としては、物足りない出来であったと思います。
塚原新さん [DVD(字幕)] 2点(2007-02-09 18:55:42)(良:1票)
塚原新 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2010-12-10サロゲート3レビュー5.36点
2010-10-21第9地区0レビュー7.07点
2010-10-15ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃3レビュー6.37点
2010-07-22容疑者(2002)4レビュー5.91点
2010-05-30ペイチェック 消された記憶4レビュー5.45点
2010-05-30パトリオット・ゲーム3レビュー5.05点
2010-02-06消されたヘッドライン4レビュー5.95点
2010-01-19アバター(2009)3レビュー7.26点
2010-01-09マイケル・ジャクソン/THIS IS IT10レビュー7.39点
2009-11-26ターミネーター42レビュー6.29点
ドッグヴィルのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS