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《ネタバレ》 何とも漠然としたタイトルで、大規模なテーマゆえ作りも大味になっているだろうと、観る前は懸念があった。が、展開が進むにつれ目頭が熱くなる自分がいた。ささやかな市井の幸福が瓦解する恐怖感といったら凄絶の極み。逃げまどう大混乱の国民、閑散とした街に居残る田村家、そして冴子と高野のモールス信号に胸打つ。また、円谷英二の特撮にも感嘆。現今のCGよりも明らかに技術レベルは低いはずだが、本作の特撮の方がずっと緊迫感、悲愴感が伝わるからフシギだ。これは作り手の切実たる熱意の賜物なのだろうか。そして洋上の貨物船・笠置丸。東京の最後を見守った高野や船長(東野英治郎)たちが、東京へ戻るのを決意するという厳粛なシーン。そこへひょっこりコック長(笠智衆)が現れ、「船長、コーヒーを入れて参りました」。このセリフには思わずのけぞった。悲愴な空気の中、いつも通り淡々とした笠さん。しかもコーヒーどうぞときたもんだ。これは却ってリアルな虚脱を痛感する。そして脳裏をよぎる子供達の「お正月」合唱。 ♪もう~い~くつ寝~る~と~お正月~…この歌がこれほど悲しく聞こえたことはない。最強の核戦争映画である。
【丹羽飄逸】さん [地上波(邦画)] 9点(2008-02-11 00:16:48)
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