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《ネタバレ》 高畑監督作品のよいところは、原作へのリスペクトがしっかりしている…というか再現性が高い点にある。そして悪いところはオリジナル要素の部分になると途端にストーリーから剥離した「自分のいいたいとこだけを強引にねじこむ」という無理やりさにつきる。その為、原作要素ののびやかな雰囲気から一転していきなり説教くさくなったりメッセージ性が前面に押し出てきて鼻白んでしまったりする。要は映画の中でチラチラと監督が頻繁に顔を出してくるので作品そのものに没頭させてくれないのだ。また私はメッセージ性をキャラクターに直接言わせる演出方法が根本的にあわないので、そうした作品は基本的に好感がもてない。そういう点で、私は高畑勲監督作品は火垂るの墓といいぽんぽこといい思ひ出ぽろぽろといいあまりいい印象をもっていない。それでもこの映画を映画館まで観にいったのは題材が古典であり「かぐや姫」だからである。他メディアで映像作品化されたかぐや姫は過去にもいくつかあるが、それのどれもが原本から逸脱したオリジナル部分に恋愛要素を盛り込み相手を5人の求婚者か帝のいずれかの狭い登場人物相関の中からチョイスしていくといった貧しい脚本のものばかりで不満だったから。さらに私はなるべく原作が古典や歴史ものの場合そのまま当時の文化風習を再現してくれるものを好む。その為地雷である監督さんではあるが、オリジナル部分に目をつぶればそこそこ古典の『かぐや姫』を楽しませてもらえるのではないだろうかというやや打算的な目論見で鑑賞した次第。
鑑賞した結果はというと、意外や生き生きとした魅力的なかぐや姫で中盤までは楽しく観れた。しかし正直中だるみした感は否めないしラストの〆方も多分こうなるだろうなという想定内そのまま。ただ『かぐや姫』という骨組だけでよく主人公の性格にここまで肉付け出来たな、と感心した部分も多い。それでも相変わらず原作とオリジナル要素のかみ合わせがスムーズにいってないので主人公の行動理念がちぐはぐになっている部分がどうしても出てきてしまった。仕方ないとはいえやはり残念である。ああ、これがディズニーであるなら翁(育ての父)とかぐや姫(娘)の父娘の物語として『オリジナルかぐや姫』と割り切りラストもとんでもハッピーエンドにしてしまうところだが、ガチ日本人の日本人による作品ですなあ。本当に勤勉ですよこの作品は、実に日本人。 【どぶん子】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-01-04 02:00:39)(良:2票)
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