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《ネタバレ》 正月休みにゆったりと鑑賞。で、題名から感じ取れる長閑な印象のみを頼りに、全然予備知識も無い状態で観たのが本当に良かった。
それと自分の中での吉高由里子という女優のポジショニングが、どうにも定まらなかったのが、当作品鑑賞後に明らかに大好きな女優として位置づけられた。学祭のサンバ部の楽屋で、彼女が世之介を団扇で扇ぐシーン。扇ぐ勢いが喜びの度合いで変化して、犬のしっぽみたいで本当にカワイイ。その後のカーテンに包まるデレデレシーンは言わずもがな。 さて、物語。おそらく自分よりやや下の世代の1980年代の彼らの生活は、多少の非日常的な出来事はあっても、おおよそ親近感が持てる程の存在に感じられ、懐かしさという感情が自然と湧き上がる。 人生について特に目的もないが、決して厭世的ではなく、人に対して当たり前に優しい。恋愛に対しても遠慮はしないが、ガツガツもせず、どちらかというと受け入れる事で成就される。そういった主人公を好きにならずにいられない。 時代を前後させる演出においても、実に自然で押しつけがましい主張がない。これが観ていて大変心地良い。 あんな奴がいたな、という誰もが持つ過去の友人に対しての感慨を、空気感と優しい台詞だけで表現する。途中ラジオの放送で知る事となる、世之介が関わってしまった、ヒロイックで劇的な「ある事件」すらをも劇中では、サラッと流してしまう。映画を観ている側はとても切なくなってしまう一瞬であるが、当時世之介に接していた友人や家族、恋人は彼の事を笑顔で思い出している。 こんな日本映画、最近あったか?いや昔もあったのか? 出演者全てが好演。画面が美しい。心に留まり続ける宝物のような映画。観終わるのが寂しい。鑑賞後、制作側の「笑ってください」という思惑に反し、少しだけ涙を堪えきれなくなった。この件については自分が歳を重ねてしまったから。 【こた】さん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2015-01-05 07:52:49)(良:4票)
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