HOKUSAI の トント さんのクチコミ・感想

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HOKUSAI の トント さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 HOKUSAI
製作国
上映時間129分
劇場公開日 2021-05-28
ジャンルドラマ,時代劇,伝記もの
レビュー情報
《ネタバレ》 鬼気迫る北斎の演技だった。
柳楽くんも田中泯さんも・・

物語りは北斎の名作の誕生に迫っている。
4章から成る。
1章は、写楽、歌麿と競い合い、中々評価の定まらない時期。
波の絵で一皮むける。
2章は、嫁をとり、娘が生まれるまで・・
途中、歌麿の手鎖事件のエピソードをはさみ、
3章の戯作者種彦の壮絶な最期の伏線となる。
3章から老年期に入り、田中泯が、絵師を見事に演じる。
彼の存在感と、役柄の北斎が、お互い両者譲らずで、負けてないのがスゴイ。
圧巻は、突風が吹いたときの庶民の姿をとらえた時の、北斎の表情だ。
その後、病に倒れるが、そこで雨の中の絵の具との戯れから、
あの誰もが知る「波」の表現についに至る。
しかし、同時進行で種彦との交流も描かれており、
3章のラストで、種彦の「討ち」死にが描かれる。
種彦が時の幕府の風俗取り締まりに逆らってまでも、
武家の身分で戯作をつづける覚悟を示したからだ。
北斎はここで、すさまじい絵を残す。それはあまり知られてない絵だった。
描き終わった後の仕事場は、戦場さながらだ。
最終章は、こんな江戸から逃げる。
そして旅先で、ついに若い頃の「波」の大作をしあげるのだ。

北斎の娘も只人ではないオーラをしめすが、そこは深く描かない。
鑑賞後、田中泯さんの表情が頭にこびりついて離れなかった。
それほどの怪演だった。

テーマは一貫している。
蔦屋の取り締まりから始まるこの映画は、一貫して、表現したいことを表現して
何が悪い、それを押さえつけるお上への非難になっている。
トントさん [DVD(邦画)] 7点(2024-07-29 21:55:53)
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