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《ネタバレ》 深刻な差別問題に向き合いながら、溢れるユーモアと、魅力あふれる登場人物。辛気臭くなることなく、豊かな時間を堪能できた。
差別が一番恐ろしいのは悪意がないのに、悪人がいないのに、不当な扱いが当たり前になっていることであると思う。この物語で、ヒール役を背負って立つヒリーさんも、ちょっとヒステリックで、人よりしっかり黒人と「区別」して共存していきたいと思っていただけなのだ。あんまり仲良くして、KKKみたいな過激派に目を付けられるより、その方が「安全」だし、と。ヒリーは憎たらしいクソ女なんだけど、どこか愛嬌があって人間らしくもあるようにもみえるところがこの映画の巧いところ。 悪人のせいで差別がおこなわれているならば、悪人を倒せばいいだけだが、そうではないところがなかなか厄介。みんなが善としている事、当たり前のようにしている事で、「これおかしくない?」ってことを、勇気を持って表明するのが大事。本作のクライマックスで、子供の面倒をヘルプにまかせっきりだったきれいなご婦人さんが「自分が間違っているのかもしれない」と言う表情をする。 その気づきこそが大きな第一歩だったのだと思わされた。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-07-17 23:46:18)(良:2票)
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