刑事コロンボ/別れのワイン<TVM> の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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刑事コロンボ/別れのワイン<TVM> の よしのぶ さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 原題の "Any Old Port in a Storm" は、慣用句「Any Port in a Storm(嵐の中の港=窮余の策)」と「Old Port(古いポルトガルワイン)」をかけたもの。オールド・ポルトは具体的には、刑事がレストランで一芝居打ったときに使用したオールド・ヴィンテージ・ポルトのこと。つまりここでの窮余の策とは、刑事が捜査に行き詰まって用いた策のこと。又「結婚の申し込みに困っての窮余の策(犯行自白)」という皮肉な意味にもとれる絶妙な題名になっている。
【犯行】
刑事が犯人のデリケートな舌を使って確認したのは、ワイン蔵の空調が止まり、蔵の温度が40度以上になったことがあるという事実。無類のワイン愛好家である犯人にとってワイン蔵の空調をとめるなどあるえない行為。にも関わらず、そうせざるを得なかったのは余程の非常事態が発生したと推量される。例えば殺人など。犯人は空調をとめたことを秘密にしていた。それは駄目になったワインをこっそり捨てていたことからも窺える。何故秘密にするのか?それは何か秘密にしなければならない出来事があったからだ。それ故に種々の状況証拠と合わせて勘案すると、秘密の暴露は犯人の自白に等しい。
ところで「蔵の空調を切ったら窒息死するのか?」という疑問がある。高度に密閉されているわけではないので、窒息はしないだろう。この事件の場合、偶然に部屋の温度が45度以上になったことにより、熱中症にかかり、窒息死したのだと思う。死体現場の様子からして、被害者は一度は意識を回復したようだ。少し暴れた様子が見て取れる。
犯人の意図は一週間水・食料なしで衰弱死させることだった。
初見では「空調を切ったのではなく、電源を切った」だった。電源を切れば扉が開かなくなり、閉じ込められると考えた。これは見直して間違いと判明。
【犯人と刑事の関係】
たいていの犯人は刑事を小馬鹿にするか毛嫌いする。だが今回の犯人は、刑事がワインを勉強をしていることで、それなりの敬意を払っている。レストランのシーンで刑事のワイン知識をほめているが、あれは本心からだ。刑事も犯人に悪意は抱いていない。犯人の事情に同情し、ワインに対する熱意、デリケートな感覚を理解しているからだ。だからわざわざ別れのワインを用意した。最高のデザートワインで別れにふさわしいもの。ワインの芳香が漂ってくるような余韻の残るエンディングに乾杯。
よしのぶさん [DVD(吹替)] 7点(2011-07-27 19:53:47)
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