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《ネタバレ》 ガラスは傷つきやすい心の象徴で、同時に凶器でもある。ハンギは何度も怒りにまかせてガラスを叩き割り、ガラスで刺された。これは心が傷ついたままということ。マジックミラー越しに見ることは、傷ついた不安の心で見ること。ソンファがミラーを破ったとき、心は癒され、二人の魂は結ばれた。男は女を思い遣って出逢いのベンチで別れた。海に入水する女は、ソンファが過去を捨て去ったことの象徴。シーレの絵は、恋愛願望の象徴で、女は体を求める恋人ではなく、魂が結び付く真の恋愛を欲していた。顔の欠けた写真は、結ばれた男女の象徴で、女には、未来に誰かと結ばれる予感があった。それがハンギと分かったとき、写真のパズルが完成した。現実と虚構の入り混じった独特の表現方法だ。男の心は深く傷ついており、もはや底辺でしか生きられない。言葉を発しないのは、意志を伝えられないことの象徴。男は、女が穢れ、自分と同じ底辺にまで堕ちないと愛しあえないと思っている。女は男を憎んだが、男が死刑判決を受けた時、男が自分のことをずっと見守っていてくれたことに思い当たり、男を愛していることに気づいた。手下のジョンテだけが二人の気持ちを理解しており、殺人を名乗り出て、男を救った。キューピット役である。ハンギは手下のミョンスに刺殺されたのか、蘇生したのかはっきりしない。その後の展開が無理算段なので、死んだと考える方が合理的だろう。二人の魂が共同で夢を見ているという解釈だ。二人が目を合せないのもその証左。結ばれた二人は売春稼業で暮らす。これが、二人にとって最も自然な形、底辺としての暮しだ。女は男と同じで言葉を発しなくなっている。色彩に意味があり、白が純潔で、赤が穢れ。トラックは赤い幌で覆われる。女を売春婦にして純愛を完成させるという奇想天外な恋愛幻想劇で、絵力や演技力があり、ある程度成功している。底辺の男が高嶺の花と結ばれるところに妙味がある。しかし、女優に華がなく、退屈だった。綺麗な花が落ちてこそ見甲斐がある。男を一瞬にして魅了する美しさが必要条件。平凡な容姿では成立しない。映像表現には長けているが、脚本が甘い。女が売春宿に沈められる過程で、親や警察が出て来ない。自首してすぐに死刑実行。女が男の愛を知るには、自己犠牲が必要で、女を守るために刺されるような事件が欲しい。とってつけたような悪徳警官。ナイフは埋めずとも海に捨てればよい。
【よしのぶ】さん [DVD(吹替)] 6点(2014-09-14 04:32:48)
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