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《ネタバレ》 訴えたいことは違えども、その鮮烈な戦場感覚は『プラトーン』を遥かに凌ぎ、ベトナム戦争を描いた映画ではもっともリアルな作品ではと思うぐらいです。監督のジョン・アーヴィンはのちに傑作『プライベート・ソルジャー』を撮ることになる人で、知られざる戦争映画の名匠と呼ぶにふさわしい監督です。 “ハンバーガー・ヒル”と兵士たちに恐れられた高地を攻めるアメリカ第101空挺師団の実話をもとにしたストーリーです。本編がスタートして30分以降はラストまでひたすら戦闘シーンの連続、それもジャングルの中から這うようにして高地を攻めあがってゆく苦しい戦いで、米兵たちが文字通りミンチにされてゆくところがこれでもかと見せつけられます。あの『バンド・オブ・ブラザーズ』の精鋭101空挺師団とは思えない冴えない戦いっぷりは、まあ史実だからしょうがないんでしょうね。これは兵士の質と言うより、当時の米軍司令部の無能ぶりが原因として指摘されるでしょう。確か十人以上いたはずの分隊が、ラストに頂上に生きてたどり着いたのはわずか三人になってしまう無常な結末、しかもこれが戦史にも残らない無名の戦闘ですから嫌になります。私の持論では「この戦場に自分がいなくてほんとによかった」と心底感じさせるのが優れた戦争映画なんですが、その意味では本作は三本の指に入る出来です。終盤の斜面を泥だらけになり滑り落ちながらバタバタ死んでゆく兵士たちの姿を観ていると、「負け戦の次に悲惨なのは勝ち戦だ」というウェリントン公爵の至言が心に浮かびました。 激戦の割には斜面をただ上ってゆくだけの単調な絵面と、ヒロイズムやヒューマニズムが皆無のストーリーテリングですので「退屈だ」という批評は当然あると思います。でも登場人物たちの個性は丁寧に描かれているし、ドラマとしては良くできていると感じます。
【S&S】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2017-11-17 23:28:59)
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