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《ネタバレ》 コーエン兄弟映画に特有のブラックなユーモアが全く観られない不気味な作品。唯一それらしいかなと思われるのは、ウディ・ハレルソンの役名がオーソン・ウェルズをもじったカーソン・ウェルズというところかな(ちょっと考え過ぎかも)。“No Country”ならぬ“No Music”で押し通すところも、今までどちらかと言えば「音楽過多」気味な作品が多いので、観客の不安をあおる語り口と相まってなんか居心地の悪さが感じられます。 それはもちろんコーエン兄弟の計算された構成が狙った効果だけど、アントン・シガーという映画史に残るモンスターキャラがあまりに強烈だからでもあります。このキャラが不気味なところは、劇中の会話がとってもピント外れで、他人とのコミュニケーションが取れていない、と言うかとろうとしない不条理さです。 私はこの映画はコーエン兄弟版の『ターミネーター』だと感じました。シガーが風呂に浸かりながら傷を治療するシーンは、まさに『ターミネーター』へのオマージュですよ。 しかし、こんな実験作でオスカー獲っちゃったコーエン兄弟の行く末が個人的には心配です(すでにその兆候が顕れている様ですが)。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-05 12:30:13)
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