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《ネタバレ》 周防正行の作品には独特の品の高さがあるのが好きです。初期の『ファンシイダンス』・本作・『Shall we ダンス?』の三作の中では自分は本作がいちばん好きで、周防正行の最高傑作なんじゃないかと思っています。大学スポーツクラブ活動を題材にしたテーマにした日本映画は意外と少なく、ましてやミッション系大学の相撲部とくればある意味突飛なアイデアと言えるぐらいです。ほんと、立教大学(教立大学)に相撲部があるなんて恥ずかしながら知りませんでしたし、たしかにイメージし難いですよね。本木雅弘のチャラい軟派な大学生というキャラは前作『ファンシイダンス』からの踏襲ですが、まさにイメージ通りだし二作しかなかったけど周防正行と本木雅弘の相性は抜群に良かったんじゃないかと思います。相変わらず本作でももっともキャラが立っていたのは竹中直人ですが、他の映画ではウザくなるのに周防作品ではかなり(これでも)抑制した演出で光る存在になり、とくに本作は最高でした。他の登場人物もみなキャラが立っており、かつて学生横綱だったという穴山教授=柄本明という、軟弱学生しかいない現実に相撲部存続を半ば諦めているけどここぞというときには自らまわしを締めて的確に指導するという不思議なキャラが光っていました。そして男装して土俵にあがって試合に臨む巨漢女子マネージャー、凡庸な脚本ならこの顛末のてんやわんやをコメディにしてしまうところなんですが、この健気な女子マネージャーの奮闘にはホロリとさせられるような感動が生まれるところが素晴らしいところです。相撲のシーンのバックにジャン・コクトーの文章を被せてくる、こういうセンスも私は好きです。まわしを締めるのを拒否する交換留学生やキリスト教の学校なのに土俵部屋に神棚があるとか、日本文化をさりげなく皮肉る視線も忘れずに盛り込んでいるところも秀逸です。ラストで清水美砂がもっくんと四股を踏む爽快感も、堪りません。 数年前に立教大学相撲部が、周防正行を名誉監督に任命したそうです。やっぱ立教大学相撲部は実在するんだ(笑)。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2025-04-15 23:38:36)《新規》
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