カリガリ博士 の S&S さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > カ行
 > カリガリ博士
 > S&Sさんのレビュー
カリガリ博士 の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 中世ドイツで流布していた民間伝説を基にして舞台設定を近代(?)に持ってきた脚本、「夢遊病者がフランケンシュタインの怪物みたいに恐れられている」という世界、その不安定な世界線には何となく違和感を覚えますが、オチを知ると納得してしまいます。でも良く考えると、百年以上前の作品だということには戦慄を覚えます。 この映画を語るときにはアイリス・ショットの多用が取り上げられますけど、当時の映画撮影技術としては良く使われていてさほど珍しくもない。真に凄いのはやはりアヴァンギャルドなその美術やセットで、まさにこれこそ“ドイツ表現主義”の誕生した瞬間と言えるんじゃないでしょうか。またカリガリ博士やツェザーレのメイクが毒々しいほどで、「メイクも俳優の演技の一部」というような製作者の主張すら感じさせられます。また当時の撮影技術では闇を映すことが出来なかったので、逆手をとったようなホワイトバックでの闇表現がまさに“白い闇”という感じで禍々しさが強調されている感すらあります。「実はすべて精神病院入院患者の妄想だった」という当時のハリウッド映画では考えられないような身も蓋もない幕の閉じ方も、いかにもドイツ映画らしいと言えるでしょう。脚本にはフリッツ・ラングも係わっていたそうですが、このストーリーテリングも後世に多大の影響を与えていることも見逃してはいけないでしょう。 DVDは字幕が英語なので英米向けバージョンだったんでしょうけど、劇中で映されるカリガリ博士の日記なども英語で綴られていました。これって言語バージョンごとに撮っていたのかな、オリジナルは当然ドイツ語でしょうし、とすれば芸が細かいことです。
S&Sさん [DVD(字幕)] 7点(2022-08-04 21:27:03)(良:1票)
S&S さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-11-29始皇帝暗殺7レビュー5.25点
2024-11-26トップガン マーヴェリック8レビュー8.00点
2024-11-23非常線の女8レビュー7.50点
2024-11-20花嫁はエイリアン7レビュー7.09点
2024-11-17マンディ 地獄のロード・ウォリアー4レビュー4.75点
2024-11-14地球の静止する日6レビュー6.74点
2024-11-11モンスター・パニック3レビュー4.40点
2024-11-08バビロン(2022)5レビュー5.77点
2024-11-05バッド・ルーテナント7レビュー5.79点
2024-11-02新 仁義なき戦い 組長最後の日6レビュー5.11点
カリガリ博士のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS