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《ネタバレ》 柴田錬三郎に原作を改変しないと約束させられて撮った前作はどう観ても失敗作となり、思い切って不義理をして大胆に脚色して臨んだのがこの第二作。試写を観た柴田は無言で去ったそうですが、後に「俺の負けだ」と述懐したそうです。 前作に比べると雷蔵のキャラは明らかにニヒルさと無常観を漂わせるようになり、眠狂四郎のスタイルを確立する方向に進んでいるのは判ります。やっと普通のチャンバラ映画の水準に達した、というところでしょうか。でもまだ狂四郎がイイ人すぎるし、だいいちよく喋る。原作との違いはわき役キャラを明確にしたところらしいですけど、そのバイ・プレイヤーたちがいい味を出しています。勘定奉行の加藤嘉が飄々としたキャラで魅了してくれるし、雷蔵との絡みがまた味わい深いものがあります。狂四郎をとりまく三人の女たちもそれぞれの個性を出していて、とくに高姫役の久保菜穂子の怪しい色気が良かったですね。突っ込むとすれば、高姫サイドが藤村志保を通じて五人の剣客を集めて勘定奉行と狂四郎を狙うところで、なんでそんな回りくどいことするんだろうというのは当然の疑問で、またこの五人の個性が希薄で活躍もしないところでしょうか。でも三隈研次らしい映像美には注目です。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2019-12-02 23:20:15)
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