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《ネタバレ》 リアル路線のハイレベルの作品である。
怪獣に対して人間がどう対処すべきかをかなり真面目に扱っている。 設定や人間の行動に無理がある部分がやや多い感じはするが、恐怖感をあおる場面、ほっと緩む場面、人の性格付けと感情に関する描写はしっかり映画として楽しめる。 いずれにしても、いろんな方向に紆余曲折していたゴジラシリーズの良いところを集めて、リアル路線で仕上げましたという感じで、劇中でタクシーの運転手に「怪獣を見たければ映画館へ行け」というセリフを言わせるなど、以前のガメラシリーズ、ゴジラシリーズを越えて新しい物を作ってやるという、監督、脚本以下スタッフの熱意が見えて、非常に好感が持てる。 まず、敵怪獣に対する恐怖感を見る者に植え付け、味方怪獣の登場へとつなげていくというストーリーは、ゴジラシリーズの「ゴジラ対ヘドラ」に近いテイストであるが、決定的に違うのが、ゴジラは既に知られた味方怪獣であり、この作品でのガメラも最初は人間の敵という位置付けで登場して徐々に味方であることが判明し、その展開に人間のリアルな対応があるという点。 最初に主人公ありきという過去のシリーズのシガラミを振り切った上で、ストーリーと共に人類の味方であるという性格付けを新たに構築したことで、説得力のある優れた脚本となったと思う。 ゴジラシリーズは、ゴジラの性格付けは1984に一度リセットしたが、初代ゴジラがあまりに名作でゴジラの出自までは変更することができず、以降の作品ではどの作品でも最初は明らかに敵でかなり無理な論理で人類の敵をやっつけてなんとなく味方になり、でもやっぱり敵のまま去っていく位置付けになっているが、ガメラでは出自を含めて完全にリセットできており、作品中で論理的に行動から判断して未確認の敵から味方に変化していることがこの出来上がりの差につながっていると思う。 毎年シリーズで作り、固定ファンが見る分にはゴジラの方向にならざるを得ないのだろうが、後になって1作ずつ評価した時には、このガメラの脚本に軍配が上がる。 人間の行動のリアルさでは多少の難はあるが、民衆の恐怖感の描写や展開の緩急のつけ方でそれを感じさせない優れた脚本だと思う。 【nobo7】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-01 01:34:56)(良:2票)
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