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レビュー情報
《ネタバレ》 描かれているのは80年代のシーンがほとんどですが、目の位置はあくまでも現代で、「いまを生きる人が、80年代だった時のことを思い出す」という設定です。でも「あの頃は良かったなぁ・・・」的な懐古趣味とは違い、いろいろな人の「そういや昔さぁ・・・」の共通項が横道世之介、つまり「世之介青春物語」ではなく、みんなが世之介のことを思い出す映画です。
多少ウザったいところのある世之介、お嬢様の祥子など、キャラの輪郭を少し誇張しているところはありますが、出てくる人はみんな「普通の人」で、起こる出来事も「ありがちな日常」です。 そこに、世之介の死を「えっ、ここで?」というタイミングで挟んできます。しかもあっさりと。その後も、これまでの延長線上のような感じで世之介の様子が自然に描かれるのですが、ここを境に、ひとつひとつの出来事が、ラストに向けてじわ~っと効いてくるんですよねー。祥子が友人の子供とハンバーグをパンにはさんで食べるシーン、祥子に届いた写真とカメラを手に入れた世之介・・・涙が出てきましたが、でもすごく幸福感がありました。加藤のセリフだったか、まさに「出会ったことで得した気分」になれるような作品でしたね。 この映画、監督や脚本等の力量やセンスはもちろん、役者の演技が光っていました! 特に吉高由里子の、病院で名前を呼び捨てで呼び合うシーン、タクシーの中での表情の演技は素晴らしかったです! 自分の笑いのツボにハマったのが、同じアパートの小暮さん。小窓から顔だけ出して「隣の人、死んでるかもしれないし」「やっぱ東京ではそういうことがよく・・・」「ないわよ。めったにないわよ!」のシーン、何度も見返して笑っちゃいました。 ただひとつ、ラストで、祥子に宛てた手紙を読む母親の声、あれはどうなんでしょう??? これまでの流れにそぐわない、違和感のある演出のように感じました・・・。ラストなんだし、あんな説明的な感じよりも、映像でもっと素敵に伝える方法があったと思うのですが・・・、 でも、全体のクオリティはかなりハイレベルで、満足できる一本であることに変わりありません。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-04-03 20:38:44)(良:1票)
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