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伊坂幸太郎の魅力は、硬質な文体で緻密に物語世界を織ってゆく巧さだと思っています。織り糸には伏線あり、洒脱な小物あり。で、出来上がったタペストリーの見事なこと。そしてこの映画は、原作を贔屓にしがちな観客の鑑賞眼に耐えうる出来栄えです。というか、むしろ伊坂作品を知る者の方がすとん、と納得できるのかな。主人公が超人的な活躍と運に助けられて、クライマックスで遂に黒幕と対決!という展開は伊坂作品ではありませんから。
なにしろキャスティングが完璧ですな。メインの人物から定年間近警官に至るまで、全てのキャラが原作イメージどおり。こんなに違和感を感じない映画化も珍しい。 テレビ中継が遮られた時の、絶体絶命の迫り来るような緊張感は、香川の冷え冷えとした顔のアップも効果抜群で、まさに映画の力によるものでありましょう。 脚本は時間の制約がある中での立派な仕事だと思うけど、色々と疑問を抱く原作未読の方にはぜひ一読をお勧めします。映像が頭の中で立ち上がり、青柳が、カズが、晴子が、キルオが、より活き活きと物語の画を補完してくれるでしょうから。 【tottoko】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-09-06 00:11:51)
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