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《ネタバレ》 韓国映画の印象と言えば(個人的に)サスペンスものなんかはグロがきつくて辟易することも多いです。でも本作のような社会派作品も多々ある裾野の広さとか、しっかり娯楽作品として仕上げる力量の大きさには感嘆します。
光州事件を扱った本作は民衆弾圧への怒りが太い柱となって作品を貫いており、その描写のリアルなことはあまりの凄惨さに言葉を失うほどでした。建物も人々の暮らしぶりもちょっと前の懐かしい日本の風景とそっくりなのに、決定的に我々に経験が無いことは軍が市民に実弾を発砲してくるという恐怖。衝撃でした。 なんたってソン・ガンホが良いですよ。彼の出ない韓国映画を観ることの方が少ないくらいですが、この人の顔は味があるというかホントに良くて、「市井の一市民」を演らせると天下一品。彼の演じるタクシー運転手はソウルのいわゆるノンポリな一般市民。当初は学生デモを見て「高い授業料払ってるんだから勉強しとけや」と苦々しく思っていたのが、事件の只中に巻き込まれることになって自国で起きている事実を知る。中盤で面倒ごとから逃げるか、自分の中の正義に従うかハンドルを握りながら葛藤する数秒間のソン・ガンホの表情に注目です。このシーンがこの作品の訴えたいテーマ全てです。名優というのはそんなわずかな時間でも人の心に訴える仕事ができるものなのですね。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-13 23:49:31)(良:1票)
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