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《ネタバレ》 見る人によって受取り方が違って来る映画らしいが、個人的感覚でいえば、劇中の長男・長女の対応はごく自然に見える。また次男の元妻は、いわば嫁の立場として極めて誠実に対応していたようでご苦労様だった。
この長男をはじめとした子どもらもいずれは両親と同じ立場になり、最後には老夫婦だけが家に取り残されることになるのかも知れない。現代だけでなく、この映画の時代や前近代においても跡継ぎ以外は全員家を出るのが当然だったわけで(劇中の三男もそういう感じ)、昔と今が違うとすれば跡継ぎさえも残らないことだが、それは人情の問題というより家という観念の希薄化である。老いた親を見守るためなら誰か一人が地元に残るだけでも十分であり、劇中の末娘なら適任だったかも知れない。 老夫婦としても、この境遇をまあ幸せだと納得しようとしていたようだが、ほとんどの人間にとってもこのあたりが納得のしどころではないか。次男は別として、生きている子は既にそれぞれの社会的地位や家庭を築いており、自分らの生きた証はちゃんとこの世に残っていく。決して慰めなどではなく、本当に幸せだったではないですか、と自分としてはこの老夫婦に言ってやりたい気がする。 なお次男の元妻に関しては、いくら昔の人とはいえ作り笑いが過ぎるのではと思いながら見ていたが、最後になって本音を言ってもらえたのはよかった。 ところで末娘は可愛らしく見えるので女学生かと思ったら教員とのことで、道で会った児童は頭を下げて挨拶し、教室での様子を見てもきりっとした立派な先生である。しかし社会的にはそういう立場でありながら、兄から見れば子ども扱いなのか大事な家族会議にも入れてもらえず、また姉からは小間使いのように使われていた。古い家族観が崩壊すればこういう理不尽な扱いもなくなるのかも知れない。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-08-03 23:58:11)
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