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《ネタバレ》 アダムとイヴの昔から禁断の果実・食物は人を惑わせる。本作は漂流サバイバル+怪奇映画の形を取りながら人間の本質に迫ったもので、マタンゴが核実験の産物と臭わせるところに批判精神が読み取れる。文字通り「キノコ雲」を想起させる造形だが、デザインは小松崎茂?ほほお―。
孤島を舞台に、極限状況に追い詰められた人間がむき出すエゴイズムと欲望が描かれ、ネオン輝く大都会と無人島の対比を通して、生きるとは何かを問いかけてくる。所詮、一皮むけば大都会に渦巻く欲望も孤島の欲情も似たようなものだろうが。 理性(人としての死)か欲望(キノコ化しての生)か究極の選択を迫られたとき、人はどのような行動をとるか。人間本位で考えがちであるが、一歩引いて考えればマタンゴ化して生きるのも自然の営みの一部といえる。生き残った村井が発するセリフ(島に残った恋人への思い)が象徴的だ。 7人の登場人物中、妖艶な悪女を演じる水野久美は最もインパクトがある。マタンゴ化して姿が変り果てる男たちに対して、キノコを食べるごとに妖しさ・毒々しさを増してゆく久美サマは怖く、美しい。 マタンゴの襲撃を逃れ、最後まで人間性を保った男が精神病院の中で後ろを振り向く一連の展開は、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に先立つこと5年、ゾンビ映画の先駆者的な位置付けができるだろう。衝撃的なラストシーンはトラウマのごとく記憶している。 この映画を観てからキノコを食べられなくなった体験談がネット上で散見されるが、自分は何ともなかったなあ。いろんなキノコを喰ったが、幸か不幸かマタンゴには成ってない・・・・・フォッフォッフォッフォッフォッ。 【風小僧】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-07-10 10:58:41)(良:1票)
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